豚の大半は三元豚
皆さんは、スーパーの精肉コーナーやお肉屋さんの店頭で「三元豚(さんげんとん)」と書かれたパネルやPOPを見たことがあるかもしれません。日本で生産されている豚の約4分の3は、三元豚といわれるもので、これはブランド名ではなく、掛け合わせを意味しています。三元豚とは3つの品種を交配させて生まれた豚のことで「三元交配豚(さんげんこうはいとん)」ともいわれています。
なぜ3品種の豚を交配させるのかというと、品種ごとの長所を組み合わせて、産まれてくる子供の数が多く、肉質(風味や食感)が良い豚を安定的に生産するためです。たとえば、泌乳量が多く子育ての上手な品種のランドレース種(L)と多産系で発育の良い大ヨークシャー種(W)から生まれた豚に、体格と肉質の良いデュロック種(D)を交配させることで、食べられる部分が多く、良質なお肉の三元豚(LWD)が安定して生産できるようになります。また、雑種にすることで病気にも強くなります。
三元交配で使われる代表的な豚の品種
ランドレース L
原産国 |
デンマーク |
特 徴 |
デンマークの在来種に大ヨークシャー種を交配してできた、ピンクっぽい白色で大型の豚です。日本ではイギリス、オランダ、スウェーデン、アメリカなどから輸入、増殖されてきました。頭の部分は比較的小さく、耳は大きく前の方に垂れています。体型は、他の豚と比べて胴長で、その分お肉の取れる割合が多い品種です。肉質の特徴としては、脂肪が薄く赤身の比率が多いとされています。産む子供の数が多く、泌乳量といわれるお乳の量も多くて、繁殖能力がすぐれているので、三元交配では主に種雌豚として広く利用されています。 |
大ヨークシャー W
原産国 |
イギリス |
特 徴 |
ヨークシャー地方の在来種に、中国種、ネアポリタン種およびレスター種などを交配して作られた、白色系で大型の豚です。日本では、イギリスやアメリカから輸入されています。頭はやや大きく、耳は前方に向って立ち、背が高く、胴の伸びが良いという外見上の特徴があります。肉質はキメ細かく、赤身と脂肪のバランスも良好です。三元交配ではランドレースとの相性も良く、発育性にすぐれているので、主として種雄豚として利用されています。 |
デュロック D
原産国 |
アメリカ |
特 徴 |
ニューヨーク州のデュロックと、ニュージャージー州のジャージーレッドとを交配して作られたもので、かつてはデュロック・ジャージー種と呼ばれていましたが、いまは短くデュロックといいます。耳は垂れ、赤茶色で体格が大きく、成豚では300Kgにもなります。胴体が大きく発育も良いので、食べられる部位が多く、肉を支える骨もかなり太くなります。肉質は柔らかさを保ちながらもしまりがあり良好といわれ、三元交配の掛け合わせでは父系の豚として広く利用されています。 |
(写真は、神奈川県環境農政局農政部畜産課提供)